■NEW JET V
JET IIIが再生周波数特性を50kHzまで拡大したことで、それは高性能トィータの条件を全て満たしたと思われました。しかしELACの開発陣は車載用モデルIVを跨ぎ、新型を意味するVをここに宣言したのです。最大のポイントとされる電極プリントの縮小はカプトン振動板面積に実質20%の拡大をもたらしました。新しいホールディング・パターンで製作される新しい振動板の功績は数多く、まずパワー・ハンドリングの向上により、飽和レベルに至るまでのマージンが高まったことで大入力への対応が強まったこと。そしてELACが仕様変更の最大のメリットと捉えているのが共振周波数を低い帯域へ大きく遠ざけたことです。再生帯域が増したことでネットワーク設計の自由度が広がったのです。さらに高調波歪みの低減も達成されました。その他ネオジウム磁気回路の強化、トィータ・バッフルを樹脂からアルミ・ダイキャスト製に変更、正面の開口部を大きめの4ギャップとしたことなどが挙げられます。この改良の成果として、周波数特性の均一化という課題が克服されています。
■6.5mm Aluminum Extrusion Cabinet
JETと共に1998年に発表された当初から変わらず採用されているのが、6.5mm厚のアルミ押し出し材を用いた強靭なキャビネットです。このキャビネットは厚さたった6.5mmですが、非常に堅牢な事が特徴として挙げられます。一般的なMDFでこの強度を持たせるには何倍もの厚さが必要となります。またサイド部にはトィータとウーハーの間に3本の凹凸が配されており、ウーハーの振動をキャンセルさせる機能性とデザインの両立を実現しています。
■NEW AS XR CONE
JET Vとコンビを組むウーハーもBS312の為に新設計されました。クルトミューラーから供給をうけるセルロース・パルプとアルミのハイブリッド振動板。プレスされるクリスタルラインのパターンを新たに最適化。バッフル面はアルミ・ダイキャストに変更され、裏側に続くバスケットまでを一体成型とし強度を高めています。BS312用のウーハーは過去の310に比べラバーエッジが約50%UPしマグネットも強化されました。ダンパー部も新たにノーメックス製に変更。より軽く、より正確に稼働するための改良です。
そのほか、ボイスコイル内径の拡大、共振周波数近くの振動を抑えるため、内部に配置されたアルミニウムリング。アルミとパルプを張り合わせるグルー素材の見直しなど、徹底的なリファインが行われました。
■NEW NETWORK &
NEW SPEAKER TERMINAL
ウーハー・ネットワークは、磁気歪みのないハイパワー・エア・コイル、MKT(金属化ポリエステル・フィルム・コンデンサ)、そしてトィーター・ネットワークにもMPT(ポリプロピレン・フィルム・コンデンサ)などの高品位パーツを採用。ネットワーク基板は、振動対策が施された「マッシブ・マウンティング・プレート」と呼ばれる3mm厚アルミとモールド成型樹脂の複合プレートにマウントされています。スピーカー・ターミナルも新規設計されたもので、「ソリッド・メカニカル・バインディング・ポスト」と呼ぶELACオリジナルの金メッキ仕様のターミナルは、シンプルなシングル・ワイヤリングで確実なロックを約束します。
■OTHERS
専用スタンドLS70IIとのコンビネーションはELAC製品の自慢です。専用スタンドでなければ得られない美しさはもちろん、天板部、ベース部の双方にスパイク配し、振動を逃がす設計はBS312の能力を最大限引き出します。もちろん転落防止のためのネジロックも可能となっています。